Music-Hip Hop Essay

HIPHOPとは・・・

2005.10

―HIPHOPとは、人に何かを教え、光を照らし、インスパイアする道具であるー   By Common

ハリケーン・カトリーナの大被害により、誰よりも深刻なダメージを受けたのは貧しい人々だった。カニエ・ウェストの発言「ブッシュは、貧しい人達、黒人達のことをなにも考えていない!」にもあった通り、今回の天災で、アメリカ国内の貧富の差が浮き彫りになった。

そのような貧富の差による国内の“不平等”をなくそう、という運動「Millions More Movement」にDiddy、Damon Dash、Kanye West、Snoop Dogg、Queen Latifah、Reverend Run、Jermaine Dupri、Ludacris、LL Cool J、Common、Wyclef Jean、Missy Elliott、Foxy Brown、David Banner等が参加することが決定した。今月15日にワシントンDCで行われるこの運動は、貧しい人たちに自分自身の力で貧困を打破するために努めるように呼びかけ、彼等にはその力があると勇気付けることを目的としている。

参加者であるCommonは、「HIPHOPは、人に何かを教え、光を照らし、インスパイアする道具。僕は、そう思ってずっとやってきた。この音楽業界で、金を掴むことに成功した者は、今度は自分達の地域に貢献するべきなんだ。仕事のない人たちに、働く場所を提供したり、何かが少しずつ変わっていくように行動を起こすべきだ。その点で、今回の運動に参加することは、とても意味のあることだと思っている」と発言した。

ストリートで生まれたアンダーグランドのHIPHOPが、オーバーグラウンドすることに成功したアメリカでは、今、アーティストたちが資金、地位、そして影響力を持ったことにより、HIPHOPは“自分達の住む環境を良い方向に変えていく”という新しい可能性を手に入れた。

では、日本ではどうだろう?アメリカとは文化も違えば、私たちの住む環境の中で解決すべき問題も異なる。スラムやゲットーと呼ばれる地域もない、若者が簡単に銃を手することもない恵まれた国、日本。しかし、周りには様々な問題がゴロゴロ転がっている。“人身事故により…”と電車が遅れるというアナウンスが駅に流れても、驚き涙を流す人がいないほど「自殺」が身近なところにある現状。“オレオレ!”と偽の電話を掛け、人の家族を大切に思う気持ちに付け込んで金を騙し取る、という“非人道的”な詐欺が多発している。「皆と同じ」ことが重要視される文化が生んだ、ちょっと皆と違う子を対象にした“いじめ”。(悲しいことにいじめは、全世界にあるのだけど…。)働くことを拒む“ニート”の出現。そして、日本の未来を背負っていく子供がいなくなっていく“少子化問題”。そのような今の日本の現状を良い方向に変えていく強力なパワーを、いつか日本のHIPHOPが、HIPHOPに限らず“音楽”が、持てる日が来ればいいな、と心から思う。

<<BACK