―Tower Records Japan Reggae Festa in Okinawa 2006 ―
@沖縄県宜野湾市海浜公園屋外劇場
毎年、春が来て、長袖を着ていると汗ばむような元気のいい日差しを久しぶりに感じると、“あぁ、もうすぐ夏が来る!”とワクワクドキドキする。そして気持ちいい風を体中に浴びながら、レゲエが聞きたくなる。なんだか夏という季節は、春よりも秋よりも冬よりも特別な感じがする。そしてやっぱり、そんな夏にはレゲエが似合う。コートやマフラーを脱いで身軽になった格好で、熱い日差しを浴びて少し汗ばむ感じが“気持ちいい”のと同じような感覚で、レゲエの音も体に“心地いい”から、夏×レゲエは相性がいいのかな。 “あぁ、早く夏がこないかなぁ…” なんて考えて東京で過ごしていた私が、一本の電話をきっかけに、一足先に “夏×レゲエ” を体感出来ることになった!日本一早い夏フェス“タワレゲ”を「流派‐R」でレポートするために、日本で一番最初に夏がやってくる沖縄へ、飛ぶことになったのだ!
羽田から約3時間、私は飛行機の中で爆睡していたため、一瞬で沖縄に到着。“夏はこんなにも近くにあったのか!”と興奮し、私はパーカを脱ぎ捨てキャミ一枚で那覇空港から外へ出る。あれれ?予想外に、肌寒い。パラパラと雨が降っている。数時間後には野外フェスが始まるというのに…!渋々パーカを着なおしていると、「えー!雨!最悪!」という女の子達の声が聞こえてくる。視線を向けると、ラスタカラーのアイテムを身につけた集団があちらこちらに。タワレゲに“飛行機”で駆けつけたお客さんたちの多さに驚いたが、そういえば、出演アーティストたちも様々な土地からここにやってくるのだ!ジャマイカからVOICE MAIL、韓国からWINDY CITY。そして国内からもPUSHIM、MOOMIN、MEGARYU、RYO THE SKYWALKER、犬式(a.k.a.Dogggystyle) 、HOME GROWN、JUMBO MAATCH、TAKAFIN、BOXER KID from MJR、KING JAM SESSION、 KEN-U,MICKY RICH、DOMINO KAT from RACY BULLET、 MAKE feel IRIE、PANG、LEECA、SINGASUN、Sis, Mayumi、SUNSET、TURNER、U-DOU&PLATY、SINGASUN、SUNSET、TURNER、U-DOU&PLATY等!!現地沖縄のアーティストはもちろん、いたるとことからレゲエラバーがここに集結!!普段からレゲエが熱い沖縄という土地が、今日はレゲエ一色に染まるのだ・・・。そしてタワレゲは、ほとんどのお客さん、アーティストにとって、2006年“初”の夏フェス!!盛り上がらない訳がない!!私はシメシメ、と一人にやけていた。
会場となる海浜公園は、タクシーで空港から約20分。お客さんたちが、ぞろぞろとライブが行われる野外ステージの方へ歩いていく。毎年雨に見舞われるというタワレゲの常連さんたちなのだろうか、多くの人がレインコートを着て、準備万端!野外ステージの入り口には、焼きそばやジュースを販売するブースが出ていて、開園前から、会場はお祭り独特の雰囲気で包まれていた。SINGASUNがステージに立ち、タワレゲは幕を開けた。MCを挟みながら、次から次へアーティストたちがお客さんたちを待たせることなく、パーフォーマンスを続けていく。パラパラ降っていた雨が、途中、強くなってきても、お客さんたちは立ち上がって、体を揺らしている。ちょっとおませなB-BOYファッションに身を包んだ小学生の男の子グループや、ミニワンピをお揃いで着ている高校生の女の子グループなど、昼間のフェスだけあって、若いお客さんが沢山来ている!年々、勢いよく盛り上がっていくジャパニーズレゲエ。そのシーンに魅せられている若い世代が、こんなにもいるということは、これからもレゲエは日本にどんどん広まっていくことだろう。会場には、子供連れのパパとママの姿もあちこちに見られた。そして、特に印象的だったのは、会場の後ろに設けられたバリアフリーのスペースの上でステージを見ていた、車椅子に座った身体障害者の男性と、彼を連れてきた彼の家族とみられる人たち。タワレゲのHPで、以前から車椅子で来場する方はメールを下さい、と呼びかけていたのはこういうことだったのか、と私はなんだか心が暖かくなった。
午後になると、雨が止んだ!会場の熱気も、そこから一気に加速する。MEGARYUが登場すると、会場からワーッと歓声が沸き、お客さんたちが一成にうちわを空に向けて仰いだ。女性陣のアーティストも負けていない!PANGがLECCAをステージに呼び込んでパーフォーマンス。会場はヘリコ(タオルを上でぶんぶん振り回す)の嵐!夕方になるとMOOMINが登場し、その歌声がお客さんたちを優しく包み込む。いつの間にか、会場は人で埋め尽くされていた。5000人以上が一緒になって、夏の始まりを感じながらレゲエ聞いている。日が暮れると、今回のイベントのスペシャゲストであるVOICEMAILが登場し、“WACKY DIP”を歌いながらのウィリボンス(レゲエのダンス)で会場を沸かした。イベントも終盤に差し掛かってくると、RYO the SKYWALKERがステージに登場。
「レゲエと出会って、ジャマイカに行って、俺はこの音楽で、日本にもラブ&ピースを広げたいって思ったんだ!」
ジャパニーズレゲエのオリジネーターの一人であるRYOの言葉を受けて、お客さん達はライターの火を空にかざした。真っ暗な空に、数千個の火が揺れている。“小さな小さなライターの火でも、集まればこんなに綺麗なんだ・・・。”私は、息を呑んだ。タワレゲの大とりを飾ったのは、PUSHIM。大きな会場にいる5000人のお客さんを丸ごと包み込む、大迫力の声量と、心に染み込んで来る美しい歌声に、鳥肌が立った。会場の一番後ろ、ステージから一番離れたところから全体を見てみると、ステージから観客に向けて当てられた照明の色は、左から右にむかってグラデーションをかけながら、赤→黄色→緑のラスタカラーになっていた。PUSHIMが、ステージにHOME GROWN、MOOMIN、RYO the SKYWALKER、TURNER、U-DOU&PLATYを呼び込み、メンバーが揃うと、遂にラストソングへ・・・。今年のタワレゲのテーマソング“Give Thanks”。周りを見ると、みんな、笑ってた。“ピースって、こういう空気のことをいうのかも・・・。”そんな空気を気持ちよく感じさせながら、タワレゲは幕を閉じた。
あぁ、日本は島国なんだ、と感じた夜。東京で生活していると、そのことを感じる瞬間とはほとんど遭遇しない。島国というイメージは、都市のそれとは180度異なるものだからだ。海で囲まれた小さな島。その中ではゆっくりゆったりと時間が流れていて、人は小さなものにも感謝する心の余裕を持っている。そして、常に愛を意識しながら生きている。沖縄にレゲエが似合うのは、そんな島国特有のバックグランドをジャマイカと共有しているからなのかもしれない。
もうすぐ、東京にも夏が来る。高層ビルの立ち並ぶ大都市で送る忙しい日々の中でも、レゲエを聴いている時くらいは、その心地良いリズムに乗りながら、風の気持ちよさ、空の青さ、雲の白さ・・・、そんな当たり前ように私たちの周りにあるものを、“気持ちいいなぁ、幸せだなぁ”としっかりと噛み締めたい。